概要
レディーミクストコンクリートを直訳すると、
事前に混合されたコンクリートという意味になります。
つまり生コンやフレッシュコンクリートと同じものを指す言葉です。
「レミコン」は、レディーミクストコンクリートを略した言葉(=一般名詞)
だと思っていたのですが、
太平洋セメントの登録商標になっています。
JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に規定されています。
この規格は、荷卸し地点まで配達される、
事前に練り混ぜられた生コンに対する規定です。
⇒荷卸し後の運搬、打設、養生については適用されません。
レディーミクストコンクリートの種類と区分
レディーミクストコンクリートの種類は
・普通コンクリート(記号:普通)
・軽量コンクリート (記号:軽量1種 or軽量2種)
・舗装コンクリート (記号:舗装)
・高強度コンクリート (記号:高強度)
の4種類となります。
それぞれのコンクリートは
・粗骨材の最大寸法
・スランプまたはスランプフロー
・呼び強度
によって区分されます。
軽量1種は通常の細骨材
軽量2種は人工軽量細骨材
を使います。
レディーミクストコンクリート製品の呼び方
レディーミクストコンクリート製品の呼び方は
・コンクリート種類による記号
・呼び強度
・スランプまたはスランプフロー
・粗骨材の最大寸法
・セメントの種類による記号
で表現します。

注)高強度コンクリートは、〇印と〇印の間の整数、
45を超え50未満の整数も呼び強度とすることができます。
セメントの種類 | セメントの種類を表す記号 |
---|---|
普通ポルトランドセメント | N |
普通ポルトランドセメント(低アルカリ形) | NL |
早強ポルトランドセメント | H |
早強ポルトランドセメント (低アルカリ形) | HL |
超早強ポルトランドセメント | UH |
超早強ポルトランドセメント (低アルカリ形) | UHL |
中庸熱ポルトランドセメント | M |
中庸熱ポルトランドセメント (低アルカリ形) | ML |
低熱ポルトランドセメント | L |
低熱ポルトランドセメント (低アルカリ形) | LL |
耐硫酸塩ポルトランドセメント | SR |
耐硫酸塩ポルトランドセメント (低アルカリ形) | SRL |
高炉セメントA種 | BA |
高炉セメントB種 | BB |
高炉セメントC種 | BC |
シリカセメントA種 | SA |
シリカセメントB種 | SB |
シリカセメントC種 | SC |
フライアッシュセメントA種 | FA |
フライアッシュセメントB種 | FB |
フライアッシュセメントC種 | FC |
普通エコセメント | E |
例)
・普通コンクリート
・呼び強度 30N/mm^2
・スランプ 12cm
・粗骨材の最大寸法 25mm
・普通ポルトランドセメント(低アルカリ形)
⇒普通 30 12 25 NL
・軽量コンクリート1種
・呼び強度 27N/mm^2
・スランプ 15cm
・粗骨材の最大寸法 15mm
・早強ポルトランドセメント(低アルカリ形)
⇒軽量1種 27 15 15 HL
・舗装コンクリート
・呼び強度 曲げ4.5N/mm^2
・スランプ 6.5cm
・粗骨材の最大寸法 40mm
・高炉セメントB種
⇒舗装 曲げ4.5 6.5 40 BB
・高強度コンクリート
・呼び強度 50N/mm^2
・スランプフロー 55cm
・粗骨材の最大寸法 20mm
・低熱ポルトランドセメント
⇒高強度 50 55 20 L
購入者は生産者と協議のうえ、下記a)~d)までの事項を指定します。
a)セメントの種類
b)骨材の種類
c)粗骨材の最大寸法
d)アルカリシリカ反応抑制対策の方法
e)~q)までは必要に応じて生産者と協議のうえ指定することができます。
e)骨材のアルカリシリカ反応性による区分
f)呼び強度が36を超える場合は、水の区分
g)混和材の種類及び使用量
h)塩化物含有量の上限値
i)呼び強度を保証する材齢
j)空気量
k)軽量コンクリートの場合は、軽量コンクリートの単位容積質量
l)コンクリートの最高温度または最低温度
m)水セメント比の目標値の上限
n)単位水量の目標値の上限
o)単位セメント量の目標値の上限または目標値の下限
p)流動化コンクリートの場合には、流動化する前のコンクリートからのスランプ増大量
q)その他必要な事項
レディーミクストコンクリートの品質
レディーミクストコンクリートの品質項目は
・強度
・スランプまたはスランプフロー
・空気量
・塩化物含有量
が荷卸し地点において、規定の条件を満足する必要があります。
強度
コンクリート強度は、次の規定を満足する必要があります。
材齢は上記i)の指定がない場合は、28日、指定がある場合はその材齢になります。
1)1回の試験結果は、購入者が指定した呼び強度の強度値の85%以上でなければならない。
2)3回の試験結果の平均値は、購入者が指定した呼び強度の強度値以上でなければならない。
例)呼び強度30とした場合
⇒1回の試験結果は25.5N/mm^2以上。
⇒3回の試験結果の平均値は30.0N/mm^2以上必要
試験頻度は、普通コンクリート、軽量コンクリート、舗装コンクリートにあっては、
150m^3ごとに1回、
高強度コンクリートは、100m^3ごとに1回を標準とします。
1回の試験結果は、任意の運搬車一台から採取した試料で作った3個供試体の試験値の平均値で表します。
スランプ
荷卸し地点でのスランプは、
購入者が指定した値に対して、
下表の範囲内でなければならない。
スランプ(cm) | スランプの許容差(cm) |
---|---|
2.5 | ±1 |
5および6.5 | ±1.5 |
8以上18以下 | ±2.5 |
21 | ±1.5※1 |
※1
スランプ21の場合、
呼び強度27以上で、
高性能AE減水剤を使用する場合は、±2とする。

スランプフロー
荷卸し地点でのスランプフローは
購入者が指定した値に対して
下表の範囲内でなければならない。
また材料分離を生じてはならない。
スランプフロー(cm) | スランプフローの許容差 (cm) |
---|---|
45,50,55 | ±7.5 |
60 | ±10 |

スランプフローは、広がりが最大と思われる直径と
その直交する方向の直径を1mm単位で測定し
その両直径の平均値を5mm(0.5cm)単位に丸めた値とします。
スランプフロー=\(\Large{\frac{X+Y}{2}}\)(mm)
【関連記事】<スランプ試験とは>
空気量
荷卸し地点での空気量は、
下表の範囲内でなければならない。
コンクリートの種類 | 空気量(%) | 空気量の許容差(%) |
---|---|---|
普通コンクリート | 4.5 | ±1.5 |
軽量コンクリート | 5.0 | ±1.5 |
舗装コンクリート | 4.5 | ±1.5 |
高強度コンクリート | 4.5 | ±1.5 |
許容値を外れた場合
スランプ・スランプフロー、空気量の試験は、必要に応じて適宜行い、
規定の許容差内に納まっていれば合格となります。
スランプ・スランプフローと空気量の一方、または両方が許容の範囲を外れた場合は、
新しく試料を採取して、1回に限り再試験を行い、その結果が規定の許容差内に納まれば、
合格とすることができます。
塩化物含有量
レディーミクストコンクリートの塩化物含有量は、
荷卸し地点で、塩化物イオン量(Cl-)として、0.30kg/m^3以下でならなければならない。
ただし、購入者の指定のあった場合は、その指定の値とする。
また、購入者の承認のあった場合には、0.60kg/m^3以下とすることができる。
塩化物含有量の試験は、工場出荷時に行うことができます。
レディーミクストコンクリートの材料
セメント
セメントは、ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、
エコセメント(普通エコセメント)を使用するものとし、それぞれの品質は、
JIS R 5210(ポルトランドセメント)
JIS R 5211(高炉セメント)
JIS R 5212(シリカセメント)
JIS R 5213(フライアッシュセメント)
JIS R 5214(エコセメント)
に適合するものとしています。
エコセメントは高強度コンクリートには使用しないこととしています。
【関連記事】<セメントの品質>
骨材
レディーミクストコンクリートに使用する骨材は、
JIS A 5308附属書Aに適合するものとします。
再生骨材Hは、軽量コンクリート・高強度コンクリートには使用できません。
各種スラグ粗骨材は、高強度コンクリートに使用できません。
【関連記事】<骨材の品質>
練混ぜ水
レディーミクストコンクリートに使用する練り混ぜ水は、
JIS A 5308附属書Cに適合するものとします。
スラッジ水は高強度コンクリートには使用できません。
【関連記事】<練混ぜ水の品質>
混和材料
レディーミクストコンクリートに使用する混和材料は
JIS A 6201(コンクリート用フライアッシュ)
JIS A 6202(コンクリート用膨張材)
JIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)
JIS A 6205(鉄筋コンクリート用防せい剤)
JIS A 6206(コンクリート用高炉スラグ微粉末)
JIS A 6207(コンクリート用シリカフューム)
JIS A 5041(コンクリート用砕石粉)
に適合するものを使用することとしています。
また、これら以外の混和材料を使用する場合は、
コンクリートおよび鋼材に有害な影響を及ぼさず、
所定の品質と安定性が確認されたものであれば、
購入者が生産者と協議のうえ、使用することができます。
【関連記事】<フライアッシュの品質>
【関連記事】<膨張材の品質>
【関連記事】<高炉スラグ微粉末の品質>
【関連記事】<シリカフューム>