概要
フライアッシュはコンクリートに加えられる混和材のひとつです。
石炭火力発電所において生じた副産物です。
微粉炭を燃やした時に溶融した灰分が冷えて球状になったものを
電気的に吸着させて集めたものです。
フライアッシュの規格
フライアッシュの品質はJIS A 6201(コンクリート用フライアッシュ)に規定されています。
項目 | フライアッシュ1種 | フライアッシュ2種 | フライアッシュ3種 | フライアッシュ4種 |
---|---|---|---|---|
二酸化けい素含有量(%) | 45.0 以上 | 45.0 以上 | 45.0 以上 | 45.0 以上 |
湿分(%) | 1.0 以下 | 1.0 以下 | 1.0 以下 | 1.0 以下 |
強熱減量(%) | 3.0 以下 | 5.0 以下 | 8.0 以下 | 5.0 以下 |
密度 | 1.95 以上 | 1.95 以上 | 1.95 以上 | 1.95 以上 |
粉末度(45μmふるい残分)(%) | 10 以下 | 40 以下 | 40 以下 | 70 以下 |
粉末度(比表面積)(\(cm^2/g\)) | 5000 以上 | 2500 以上 | 2500 以上 | 1500 以上 |
フロー値比(%) | 105 以上 | 95 以上 | 85 以上 | 75 以上 |
活性度指数 材齢28日(%) | 90 以上 | 80 以上 | 80 以上 | 60 以上 |
活性度指数 材齢91日(%) | 100 以上 | 90 以上 | 90 以上 | 70 以上 |
フライアッシュを構成している化学成分は、二酸化けい素(\(SiO_2\))、酸化アルミニウム(\(Al_2O_3\))です。
フライアッシュの粒子は球状をしています。
コンクリートに混和すると、ワーカビリティが改善され、
必要なコンシステンシーを得るために必要な単位水量を少なくすることができます。
フライアッシュの強熱減量は未燃炭素含有量を表します。
未燃炭素含有量が多いほど風化が進んでいるとされ、
AE剤が未燃炭素に吸着され空気連行性が低下します。
フライアッシュの特徴
ボゾラン活性(ボゾラン反応)とは
フライアッシュの成分である二酸化けい素が
セメントの水和反応時に生成される水酸化カルシウム(Ca(OH)\(_2\))と
徐々に化合してけい酸カルシウム水溶物を生成することを、ボゾラン活性(ボゾラン反応)といいます。
不燃パネル(ケイカル版)の材料にもなります。
十分な湿潤養生を行うと、フライアッシュのまわりがボゾラン反応生成物で満たされ
長期にわたって強度が増進し、水密性も向上します。
逆に湿潤養生が十分でないと、強度不足や凍害による表面劣化などが起きます。
フライアッシュセメントとして使用される場合は
セメントの水和熱の低減も期待できるので、マスコンクリートに使われることもあります。
ボゾラン反応で、水酸化カルシウムを消費するので
フライアッシュを用いないコンクリートに比べると
中性化の進行が早くなります。
フライアッシュの混入率を質量比15%以上とすれば、
アルカリシリカ反応の抑制に効果があることも確認されています。
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