概要
練混ぜ水は、
・コンクリートの凝結(=セメントとの水和反応)
・混和剤との反応
・鉄筋の発錆
などに大きな影響を及ぼす重要な材料です。
コンクリートの練混ぜ水は、
・上水道水
・上水道水以外の水(河川水、湖沼水、地下水、井戸水、工業用水など)
・回収水(上澄水、スラッジ水)
があります。
飲み水に供されている上水道水は、
練混ぜ水として申し分ない品質ですが
飲料用ほど上質である必要がないので、
上水道以外の水、回収水の使用も認められています。
回収水とは
レディーミクストコンクリート工場の
ミキサーや運搬車などの洗い水から骨材を取り除いた水を回収水といいます。
回収水は、上澄水とスラッジ水に区分されます。
上澄水
セメントから溶出する水酸化カルシウム等を含むアルカリ性の高い水です。
スラッジ水
スラッジ固形分(水和生成物と一部骨材微粒子を含む)を含む水です。
練混ぜ水の品質
影響を及ぼす物質の有害量を含んでいてはならない。
内部に鋼材を有しているコンクリートには、
海水を用いてはならない。
という規定があります。
上水道以外の水の品質
上水道以外の水の品質は
・JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)
・コンクリート標準示方書(土木学会)
に規定されています。
項目 | 品質 |
---|---|
懸濁物質の量 | 2 g/L 以下 |
溶解性蒸発残留物の量 | 1 g/L 以下 |
塩化物イオン(Cl-)量 | 200 mg/L 以下 |
セメントの凝結時間の差 | 始発は30分以内 終結は60分以内 |
モルタル圧縮強さの比 | 材齢7日および 材齢28日で90% |
項目 | 品質 |
---|---|
懸濁物質の量 | 2 g/L 以下 |
溶解性蒸発残留物の量 | 1 g/L 以下 |
塩化物イオン(Cl-)の量 | 200 ppm 以下 |
水素イオン濃度(pH) | 5.8~8.6 |
モルタル圧縮強度比 | 材齢1日、7日および 材齢28日で90%以上 (91日も確認することが望ましい) |
空気量の増分 | ±1% |
=200 mg/L
=0.2 g/L
(ppm=mg/L)⇒濃度を示す単位です。
回収水の品質
回収水の品質は
JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)
に規定されています。
スラッジ水を使用する場合は、
スラッジ固形分率は3%を超えてはならない、
と規定されています。
スラッジ固形分率とは
レディーミクストコンクリートの調合(配合)における
単位セメント量に対するスラッジ固形分の質量の割合を分率で表したものです。
スラッジ固形分の質量濃度ではありません。
意味の取り違えに注意してください。
項目 | 品質 |
---|---|
塩化物イオン(Cl-)量 | 200 mg/L 以下 |
セメントの凝結時間の差 | 始発は30分以内 終結は60分以内 |
モルタルの圧縮強さの比 | 材齢7日および 材齢28日で90% |
回収水使用に関する注意事項
日本コンクリート工学会では回収水使用に関する注意事項を下記にまとめています。
・上澄水は、練混ぜ水として上水道水と同様に使用してよい。
・水セメント比、コンシステンシーを一定にするためには、
スラッジ固形分率1%につき、単位水量、単位セメント量をそれぞれ1~1.5%増やす。
・細骨材率は、スラッジ固形分率1%につき、約0.5%小さくする。
・空気量が減少する傾向にあるため、AE剤や空気量調整剤量を調整する。