高炉スラグ微粉末ってなに?

概要

製鉄所の高炉から排出された溶融状態のスラグに
水や空気を高速で大量に吹き付けて急冷し
これを微粉砕して調整したものです。
高炉セメントの原料として用いられていますが
品質改善の効果があるのが確認されており
高流動コンクリートや高強度コンクリートの混和材としても用いられています。

高炉スラグ微粉末の規格

高炉スラグ微粉末の品質は、JIS A 6206(コンクリート用高炉スラグ微粉末)に規定されています。

項目高炉スラグ微粉末3000高炉スラグ微粉末4000高炉スラグ微粉末6000高炉スラグ微粉末8000
密度(g/cm3)2.80 以上2.80 以上2.80 以上2.80 以上
比表面積(cm2/g)2750 以上
3500 未満
3500 以上
5000 未満
5000 以上
7000 未満
7000 以上
10000 未満
活性度指数(%)材齢7日55 以上75 以上95 以上
活性度指数(%)材齢28日60 以上75 以上95 以上105 以上
活性度指数(%)材齢91日80 以上95 以上
フロー値比(%)95 以上95 以上90 以上85 以上
酸化マグネシウム(%)10.0 以下10.0 以下10.0 以下10.0 以下
三酸化硫黄(%)4.0 以下4.0 以下4.0 以下4.0 以下
強熱減量(%)3.0 以下3.0 以下3.0 以下3.0 以下
塩化物イオン(%)0.02 以下0.02 以下0.02 以下0.02 以下
表_高炉スラグ微粉末の品質(JIS A 6206)

 
高炉スラグ微粉末3000~8000
3000~8000は、代表する比表面積の数値を表しています

高炉スラグ微粉末の特徴

潜在水硬性

水だけでは硬化反応を起こすことはありませんが
アルカリ刺激剤が加わると硬化する性質です。
⇒コンクリートに加えると硬化する性質。
水和組織が緻密になるので
耐硫酸塩性・耐海水性・水密性が高くなります

強度発現性を向上させる目的で使用される場合は
比表面積が大きいものを使用します。
比表面積が大きくなるにつれて
コンクリートの流動性も大きくなるのが一般的です。

水和熱についてはケースバイケースです。
比表面積の小さいものは、20℃以下で養生して、
普通ポルトランドセメントに置換して
高炉スラグを用いた場合の水和熱を小さくすることができる一方で、
比表面積の大きいものは養生温度が高くなると、活性が増して
普通ポルトランドセメントよりも
水和熱が高くなることがあります

 
コメント令和2年度のコンクリート技士試験の問題で
高炉セメントの方が普通ポルトランドセメントよりも
最大温度が高く分布されているグラフが出題されました。

また、アルカリシリカ反応の抑制に効果があることも確認されています。