静定梁(せいていばり)ってなに?

梁(はり)とは

支点によって支持されている水平部材を梁といいます。

棟梁(:組織や仕事を束ねる中心人物のこと(Wikipediaより))

ということばに使われているように、梁は建物の重要な構造部材のひとつです。

 
鉛直部材は、柱といいます。
斜めの部材は、筋交い(ブレース)といいます。

支点(固定支点・ローラー支点・ピン支点)とは

部材を支持する点です。固定支点ローラー支点ピン支点の3種類があります。

固定支点

  • 鉛直方向・水平方向の動きを拘束します。
  • 回転も拘束します。
  • 鉛直荷重・水平荷重・モーメント、計3個の反力が生じます。

文字通りガチガチに固定・拘束されている状態の支点です。

鉄筋コンクリート造の柱梁の接合部などがこれにあたります。

ローラー支点

  • 鉛直方向のみ、動きを拘束します。水平方向は自由です。
  • 回転は自由です。
  • 鉛直荷重のみ、計1個の反力が生じます。

自由度が高く、様々な要因による変形を逃がす機構をもつ支点です。

橋梁などのすべり支承がこれにあたります。

可動支点と呼ばれることもあります。

ピン支点

  • 鉛直方向・水平方向の動きを拘束します。
  • 回転は自由です。
  • 鉛直荷重・水平荷重、計2個の反力が生じます。

一番の特徴は、反力にモーメントが生じないところです。

トラス構造の節点などにもこのピンが用いられます。

ヒンジ支点と呼ばれることもあります。

 

図_支点3種類

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スパンとは

両支点間の距離をスパンをいいます。

梁を渡している長さ、間隔のことです。

長いスパンのことを、「スパンを飛ばす」といったりします。

また、スパンという言葉は、梁だけでなく床にも用いられます。

例:広いスパンの床(=支持間隔が広い床のことです)

静定と不静定

支点に生じる反力を力のつりあいの3条件で解けるものを静定梁、

力のつりあい条件だけでは解けないものを不静定梁といいます。

 
作用する荷重に対して、支点に生じる反力を求めること、
求めた反力により梁部材に生じる断面力
・曲げモーメント
・せん断力
・軸方向力
を求めることを「解く」といいます。

具体的には、1本の梁について、反力が3個あるもの静定梁になり、

反力が4個以上あるもの不静定梁になります。

不静定梁の反力を求める際には、力のつりあい条件の他に、

たわみの変形に関する方程式もあわせて考慮する必要があります。

「不静定」は「不安定」ではありません(不静定の方が安定感はより高いです)。

意味を取り違えないように注意してください。

まずは、静定梁について理解を深めていきたいと思います。

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 主な静定梁(4種類)

図_主な静定梁の支持形状

4種類ご紹介していますが、下記で示すように

張出し梁とゲルバー梁は、単純梁の組合せなので

実質的には、静定梁とは単純梁と片持ち梁の2種類です。

単純梁

一端がピン支点、他端がローラー支点で支えた梁をいいます。

ピン(反力数2)+ローラー(反力数1)=反力の合計が3

⇒力のつりあい条件の方程式から、反力を求めることができます。

片持ち梁

一端が固定端、他端が自由端の梁を片持ち梁といいます。

固定端(反力数3)+自由端(反力数0)=反力の合計が3

⇒力のつりあい条件の方程式から、反力を求めることができます。

張出し梁

単純梁の一端、または両端を張出した梁のことです。

ゲルバー梁

ドイツのゲルバー教授が提案した梁の支持形状です。

この名前がついています。

単純梁と張出し梁を組み合わせたものです。

まとめ

静定であるということは

⇒反力が3つであるということです。

⇒力のつりあい条件の方程式のみで反力を求めることができるということです。