力のつりあいってなに?

力のつりあいとは

一点・多点を問わず数個の力が物体に作用し、

物体が静止状態にあるとき

その物体は、つりあいの状態にあるといいます。

 

 

力のつりあい条件を示すフロー

つりあいの3条件

\(\sum{H}=0\)・・・(1)

⇒水平方向の力の成分の代数和がゼロである

\(\sum{V}=0\)・・・(2)

⇒鉛直方向の力の成分の代数和がゼロである

\(\sum{M}=0\)・・・(3)

(1)(2)(3)が同時に成立します。

 
(1)(2)は、力の多角形が閉じることを意味しています。
(3)は任意の点でモーメントがゼロになることを意味しています。
力の計算をする際、使用頻度の高い条件式です。
確実にマスターして、次のステップに進みましょう。

一点に作用する数個の力が作用する場合の力のつりあい条件

作用する力が一点に集中しているため回転はおこりません。

このため\( \sum(M)=0 \)は常に満足しています。

あとは、合力がゼロになる必要があります。

 

 \(\overrightarrow{P_1}+\overrightarrow{P_2}+\overrightarrow{P_3}+\overrightarrow{P_4}+\overrightarrow{P_5}=0\)

計算で求める場合は、

 \( \sum(H)=0 \) かつ \( \sum(V)=0 \) 

を満足していることを確認します。ベクトルの成分で計算を行います。

 \(\overrightarrow{P_1}=(a_1,b_1),\)

 \(\overrightarrow{P_2}=(a_2,b_2),\)

 \(\overrightarrow{P_3}=(a_3,b_3),\)

 \(\overrightarrow{P_4}=(a_4,b_4),\)

 \(\overrightarrow{P_5}=(a_5,b_5),\)とすると、

 \(a_{1}+a_{2}+a_{3}+a_{4}+a_{5}=0\) かつ

 \(b_{1}+b_{2}+b_{3}+b_{4}+b_{5}=0\) となります。

一点に作用しない数個の力が作用する場合の力のつりあい条件(塊のつりあい条件)

1点に作用しない数個の力がつりあうためには、合力がゼロになり、

かつ任意の点に関するモーメントがゼロである必要があります。

<実際に例題を解きながら確認してみましょう>

P1,P2,P3,P4がつりあっているとき、P2,P3,P4の大きさを求めよ。

 

具体的にイメージするとしたら、

正方形の小さいテーブルをP1,P2,P3,P4で押したり引いたりしていますが、

動かない状態を思い浮かべてみてください。

力のつりあい条件を一つひとつ見ていきましょう。

 \( \sum(H)=0 \)より

 \(-P2+P3+P4\times\mathrm{cos}(45°)=0\)      ・・・(1)式

 \( \sum(V)=0 \)より

 \(P1-P4\times\mathrm{sin}(45°)=0\) (\(\mathrm{sin}(45°)\)=\(\frac{1}{\sqrt{2}}\)より)

 \(P4=P1\times\sqrt{2}\) 

 \(P4=10\sqrt{2}N\)               ・・・(2)式

 \( \sum{M_{D}}=0 \)より

 \(P1\times200-P2\times100=0\)

 \(10\times200=P2\times100\)

 \(P2=20N\)                 ・・・(3)式

(2)式・(3)式を(1)に代入すると

 \(-20+P3+10\sqrt{2}\times\frac{1}{\sqrt{2}}=0\)

 \(P3=10N\)

となります。

このように、一点に作用しない力のつりあい条件は、

未知の力を導き出すときに使用します。

駆け出し研修生
わたしにつりあう条件のお相手も見つけられますか?
 
力のつりあい条件は、
未知のベクトルを解き明かすときに使用する条件式です。
自分につりあう相手を探すより、
自分が見つけた好みの相手につりあうように
自分を高めていく生き方のほうがわたしは好きですね。

まとめ

力のつりあいとは、物体が静止し続けている状態のことです。

力学的には、

合力がゼロで、かつどこの点でもモーメントがゼロの状態です。

つりあいの状態で、方程式を3つ立てることができます。

  • 水平方向の合力がゼロ
  • 鉛直方向の合力がゼロ
  • 任意の点でのモーメントがゼロ

上記の連立方程式を解くことで、静定梁の支点の反力を求めるときなど、

未知の力を導き出すことができます。

逆に言うと、つりあっている状態ならば、

上記の3つの条件が必ず成り立っているということです。

 
力のつりあい条件は、構造力学のなかで、
最も基本となる考え方のひとつです。

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