高強度コンクリート

概要

JIS A 5308(レディミクストコンクリート)における高強度コンクリート
JASS5(日本建築学会)における高強度コンクリート
コンクリート標準示方書(土木学会)における高強度コンクリート
厳密な定義は、それぞれの規定により異なります。

このページでは、設計基準強度が一般のコンクリートよりも高いコンクリートを
高強度コンクリートと呼ぶことにします。
⇒上記いずれの場合にもあてはまるものとして扱います。

高強度コンクリートの性質

高強度コンクリートは、水セメント比が小さいため
セメントペーストの粘性が高い傾向にあります。
水セメント比が35%以下では、
ブリーディングがほとんど生じなくなり、
材料分離しにくくなります

一般的なコンクリートよりも水分が少なくなるので
プラスティック収縮ひび割れが生じやすくなります。
また、乾燥収縮は小さくなる傾向にありますが、
自己収縮は大きくなる傾向にあるため
収縮ひび割れが発生しにくいわけではありません。
高強度コンクリートは、単位セメント量が多いので
水和熱による温度応力が大きくなる傾向にあります。
自己収縮と併せて、初期材齢時のひび割れ対策を考慮する必要があります
単位セメント量が多いと、アルカリ濃度が高くなるので
使用する骨材のアルカリシリカ反応への対策を十分に行う必要があります

セメントペーストの粘性が高いので
流動性を高める添加剤が用いられます。
そのため、スランプ値ではなく
スランプフローを流動性の判断に用いています。

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高強度コンクリートのヤング係数は
圧縮強度とともに増加します。
⇒設計基準強度の1/3乗に比例します。
また、使用する骨材の性質にも左右されます。

高強度コンクリートは、セメントペーストの組織が緻密であることから、
中性化の進行速度は遅くなる傾向にあります。
水セメント比30%以下では、中性化はほとんど進行しなくなります。
また、緻密であるために火災時には
表面が爆裂しやすく、一般のコンクリートに比べて耐火性が劣ります。
爆裂の対策として、ポリプロピレンの短繊維を混入などが有効です。

高強度コンクリートの材料

セメントは、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント
低熱ポルトランドセメントが用いられることが一般的です。
シリカフュームをプレミックスしたセメントや、
高炉スラグ微粉末とシリカフュームをプレミックスしたセメントが
設計基準強度80N/mm^2以上で使用されています。
プレミックスのセメントの開発は、
計量時の品質管理のバラつきを解決する手段のひとつとなっています。

骨材は、強度が高く均質で硬質なものがよいとされています。
また、アルカリシリカ反応性が無害と判定された骨材を使用することを原則としています。

混和剤は、通常、高性能AE減水剤を使用します。

混和材は、シリカフューム、高炉スラグ微粉末、フライアッシュなどが用いられます。
設計基準強度100N/mm^2以上では、
ほとんどのケースでシリカフュームが使用されています。

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高強度コンクリートの製造

高強度コンクリートの品質は、一般のコンクリートに比べて
材料の品質変動の影響を受けやすく、
特に細骨材の表面水率の安定化が非常に重要です。
骨材の貯蔵施設は、屋根や上屋などの覆いのついたものとし
下部にたまった雨水などを容易に排水できるものが望ましいです。
また、細骨材の表面水率の測定頻度を多くすることが求められています。
例:始業前、午前、午後、それぞれ1回ずつ行う。⇒3回以上/日

高強度コンクリートは粘性が高いため
ミキサにかかる負荷を小さくすることが必要な場合があります。
1バッチに練混ぜ量は、ミキサの容量の2/3程度が適切です。
事前の試験練りのときに、練混ぜ時間とミキサの負荷電流の関係を確認し、
適正練混ぜ時間と製造能力を把握しておくことが望ましいとされています。

高強度コンクリートの施工

高強度コンクリートの圧送時の圧力損失は
一般のコンクリートに比べて2~4倍と大きい傾向があります。
圧送管の径を大きくしたり、
適切なポンプ車の選定(スクイーズ式よりもピストン式の方が圧送能力が高い)、
検討・確認が必要です。

高強度コンクリートは粘性が高いので
棒状振動機の振動が伝わる範囲が狭くなります
コンクリートのワーカビリティに応じた
入念な締固めが必要です。
また、ブリーディングがほとんど生じないため表面が乾燥しやすく(=こわばりやすい)
コールドジョイントが発生しやすい傾向があります。
打ち重ね部は、入念に締固めを行う必要があります。