線膨張係数とは
熱による変形の度合い(プラスの温度変化:膨張、マイナスの温度変化:収縮)を示す係数です。
材料によって数値は異なります、
変形しやすい材料もあれば、変形しにくい材料もあります。
具体的には、\(1℃\)の温度変化による単位長さ当たりの長さの変化の割合です。
\(\alpha\):線膨張係数(\(1/℃\))

長さの変化量\(Δl\)は、
\(Δ{l}=\alpha\times{l}(t_2-t_1)\)(\(mm\))
となります。
<参考>
鉄筋とコンクリートの線膨張係数は、ほぼ同じとみなされています。
鉄筋でコンクリートを補強する「鉄筋コンクリート構造」というのは
この前提のもとに成り立っています。
(=鉄筋とコンクリートは温度差による変形量は同じである。という前提です)
実務では(わたしは)鉄筋コンクリートの線膨張係数の値を
\(\alpha=10\times10^{-6}(1/℃)\)で使っています。
温度応力度とは
下図のように、両端を固定した部材のように、
伸縮を拘束した状態では、
内部に伸縮による応力を生じます。
この応力を温度応力度といいます。
(伸縮の拘束がない場合は、温度応力度は生じません)

\(E\):部材のヤング係数(\(N/mm^2\))
\(\sigma\):温度が\(t_{1}K\)から\(t_{2}K\)に変化したときの温度応力度
とすると、
\(\epsilon=\Large{\frac{Δl}{l}}\)
より、温度応力度\(\sigma\)は、
\(\sigma=\epsilon\times{E}\)
\(=E\times\Large{\frac{Δl}{l}}\)
\(=E\times\Large{\frac{\alpha\times{l}(t_2-t_1)}{l}}\)
\(=E\times\alpha(t_{2}-t_{1})(N/mm^2)\)
と表されます。
温度応力度は、部材の長さ\(l\)に影響を受けません。
温度応力度は、部材の断面積に影響を受けません。
- 温度応力度は、温度上昇のとき⇒圧縮応力度
- 温度応力度は、温度下降のとき⇒引張応力度
となります。
【関連記事】<ヤング係数とは>
ギリシア文字(ギリシャ文字)と読み方
構造力学では、ギリシア文字もよく使われます。
読み方、使われ方を簡単に紹介します。
大文字 | 小文字 | 読み | 使用例 |
---|---|---|---|
\(A\) | \(\alpha\) | アルファ | 線膨張係数 |
\(B\) | \(\beta\) | ベータ | (該当なし) |
\(\Gamma\) | \(\gamma\) | ガンマ | せん断ひずみ |
\(\Delta\) | \(\delta\) | デルタ | たわみ(たわみ量) |
\(E\) | \(\epsilon\) | エプシロン | ひずみ |
\(Z\) | \(\zeta\) | ゼータ | (該当なし) |
\(H\) | \(\eta\) | イータ | (該当なし) |
\(\Theta\) | \(\theta\) | シータ | たわみ角 |
\(I\) | \(\iota\) | イオタ | (該当なし) |
\(K\) | \(\kappa\) | カッパ | 曲率 |
\(\Lambda\) | \(\lambda\) | ラムダ | 限界細長比、細長比 |
\(M\) | \(\mu\) | ミュー | 摩擦係数 |
\(N\) | \(\nu\) | ニュー | ポアソン比 |
\(\Xi\) | \(\xi\) | クシー | (該当なし) |
\(O\) | \(\omicron\) | オミクロン | (該当なし) |
\(\Pi\) | \(\pi\) | パイ | 円周率 |
\(P\) | \(\rho\) | ロー | 曲率半径 |
\(\Sigma\) | \(\sigma\) | シグマ | 応力度 |
\(T\) | \(\tau\) | タウ | せん断応力度 |
\(\Upsilon\) | \(\upsilon\) | ウプシロン | (該当なし) |
\(\Phi\) | \(\phi\) | ファイ | (該当なし) |
\(X\) | \(\chi\) | カイ | (該当なし) |
\(\Phi\) | \(\phi\) | プシー | (該当なし) |
\(\Omega\) | \(\omega\) | オメガ | 円振動数 |

見方を変えると、それほどたくさんは使われていないので、
一気にマスターしちゃいましょう。ということですね。
構造力学で頻繁に使うのは、
\(\delta\)(たわみ)、\(\theta\)(たわみ角)、\(\varepsilon\)(ひずみ)、
座屈のはなしによく出てくる \(\Lambda\)(限界細長比)、\(\lambda\)(細長比)
応力度のはなしによく出てくる \(\sigma\)(応力度)、\(\tau\)(せん断応力度)
このあたりは、最優先で覚えておきましょう。
\(\pi\)(円周率)、や \(\mu\)(摩擦係数)、\(\omega\)(円振動数)は、数学や物理(力学)で(大学受験のときに)お馴染みだと思います。
ここまでくると、残りはもうあといくらもないですね。
数学や物理では、ある定数を文字に置き換えることはよくあることだと思います。
どの文字がどの定数に置き換えられているか、把握しておきましょう。