力ってなに?モーメントってなに?

力について

構造物に作用する荷重を「力」という概念で表現します。

力学が苦手な方もいると思います。
力学が理解しにくい原因のひとつは、
力が目に見えないものだからなのでは?と私は思っています。

力の表現方法(力の3要素)

  • 1)力の大きさ
  • 2)力の方向(向き)
  • 3)力の作用点

力を表記するときは、大きさと方向をもつベクトルで表現します。

図で表現するときは矢印で表します。

どこに、どの向きに、どれだけ(どのくらいの大きさの)力が作用したか。

を見える化して客観性をもたせましょう。

客観性を持たせると、力のことを他者にも伝えやすくなり、

また、他者と情報を共有することができますね。

力の大きさは、「矢印の長さ」で表現します。大きな力は長い矢印ということです。

 
矢印を描くときは、矢の部分と軸の部分が
きれいに接するように丁寧に描きましょう。
わたしは学生の頃、雑に描いて
物理の先生にこんなのは矢印ではないと
バツをつけられました。

図は、文字と同じです。ていねいに表記するように心がけましょう。

力の単位

力の単位は「N」(読み:ニュートン)で表します。

もしくは、「kN」(読み:キロニュートン)

以前は、「kgf」(読み:キログラム重(じゅう))

もしくは、「tonf」(読み:トン重)を使っていました。

 \(1(N)=0.102(kgf)\) ⇒ \(1(kN)=0.102(tonf)\)

 \(1(kgf)=9.806(N)\) ⇒ \(1(tonf)=9.806(kN)\)

昔の参考書では、力の単位は「kgf」「cm」で書かれていました。

これらはJIS単位と呼ばれています。

「N」「mm」はSI単位(エスアイたんい)と呼んでいます。

SI単位は世界基準なのに対して、JIS単位は古くから使っている日本の基準て感じです。

わたしは、JIS単位からSI単位に切り替わる時期に学生時代を過ごしました。

なので、仕事で上司と話をするときは、

「kgf」「tonf」「cm」が多かったです。

また、わたし自身荷重の大きさをイメージするときは

一度「tonf」に直して、軽自動車〇台分とか、20トントレーラー△台分

と重さ(厳密には質量)に置き換える作業を無意識にしてしまいます。

「N」「kN」の大きさを直接イメージするのは、まだ苦手です。

おそらく、私自身ずっと苦手なままだと思います。

力のモーメント

モーメントとは、任意の点に力によって生じる回転力のことです。

O点に関するモーメントは、

その点までの最短距離rと力の大きさPの積で表され

\(Mo=P\times{r}\) となります。

わたしはモーメントの概念を納得するまで
とても時間がかかりました。

モーメントの単位

モーメントの単位は、「N・mm」もしくは「kN・m」で表します。

モーメントの符号

モーメントの符号は下記のように表します。

なぜ

時計回りが(+:プラス)で

反時計回りが(-:マイナス)なんだろう?

って深く考えてしまうと、行き詰まります。

そういうルールにしておきましょう、と昔のひとが決めて

とりあえず、現在まで不都合がないからです。

今はこういうものだと思って進んでくださることを願っています。

思考停止。蔓延する前例主義など、批判はあるかもしれません・・・

 
モーメントはスパナをイメージすると
概念をとらえやすいかもしれません。
スパナの柄が長いほど、小さいちからで軸(ボルト)をまわせますよね。
逆に、スパナの柄が短いと軸(ボルト)をまわすのに
大きなちからが必要になります。
車やバイクが好きな方は、トルクという言葉の方が
しっくりくるかもしれませんね。
トルクも軸をまわす回転力の大きさをあらわしています。
 

偶力とは

偶力とは、平行で大きさが等しく方向が逆の2つの力の組のことです。

キーワードは「平行で一直線上にない」「二つで逆向き」「同じ大きさの力」です。

平行で一直線上にないことがポイントです。

一直線上にあると、二つの逆向きのちからがつりあってしまい、

また、平行でないと(=どこかに交点ができるため)、

下記で示す偶力のモーメントが生じなくなってしまいます。

偶力のモーメントとは

偶力をP、偶力の作用線間の最短距離をrとすると

\(M=P\times{r}\) 

を偶力のモーメントといいます。

偶力には、偶力のモーメントが生じます。

偶力のモーメントが生じないていない偶力は、

実は偶力になっていないことになります。

また、ひとつの物体に、複数の偶力が働いていて

最終的に、偶力のモーメントがつりあって物体は回転しない。

という状況はよくあります。

偶力のみが同じ物体に作用するとき、その物体に及ぼす影響は、

合力がゼロであることから、偶力のモーメントによる回転のみとなります。

 
偶力のモーメントは、つりあい条件と組み合わせて
強度検討をするときなどによく使います。
ぜひマスターしましょう。
何度か使っていくうちに慣れていくと思います。
 

「モーメント」に似たワードで、「曲げモーメント」というものがあります。

曲げモーメントは、モーメントによって部材に生じる曲げ応力のことです。

「モーメント」と「曲げモーメント」は、違うものなので

混同しないように注意してください。

【関連記事】<曲げモーメントとは

まとめ

力とは、目にみえないけれども物体の状態を変化させることができる概念です。

目に見える化するために、矢印を使って表記します。

モーメントとは、ひとことで表すと軸を回転させる回転力のことです。