吹付けコンクリート

概要

吹付けコンクリートは、
圧縮空気によって打ち込み箇所に吹付けて施工するコンクリートです。
型枠を使用することなく広い面に薄いコンクリート層を施工します。

トンネルや地下構造物の支保部材や、
掘削のり面の保護・補強、
コンクリート構造物の補修・補強
などに用いられます。
吹付け方式によって湿式と乾式に分類されます。

湿式吹付けコンクリート

プラントであらかじめ練り混ぜられたフレッシュコンクリートを
吹付け機に投入し、コンプレッサによる圧縮空気により
ノズルから吹き付ける方式です。

湿式の長所

リバウンドが少なく、吹付けられたコンクリートの品質も安定しています。

湿式の短所

吹付け機械からノズルまでの圧送可能な距離が短く、
機械設備の規模が大きくなります。
あらかじめ練り混ぜられたフレッシュコンクリートを用いるため、
練り混ぜから施工までの時間的な制約があります。

乾式吹付けコンクリート

水を含まないドライミックスのコンクリート材料(セメント+細骨材+粗骨材)を
吹付け機に投入し、コンプレッサによる圧縮空気により圧送し、
ノズル直前で水を加えて吹付ける方式です。

乾式の長所

吹付け機械からノズルまでの圧送距離を長くとることができます。
水無しで練り混ぜるため、
練り混ぜから吹き付けまでの時間を長くとることができます。

乾式の短所

リバウンド、粉塵が多いため作業環境に注意が必要です。

リバウンドとは

コンクリートを吹付けする際に、
材料がはね返りってしまうことをリバウンドといいます。

吹付けコンクリートの材料

セメントは、普通ポルトランドセメントが用いられます。
酸性水や塩分の影響を受ける場合には、
高炉セメントB種が用いられることもあります。

粗骨材は、粒子が大きいとはね返りが多くなり
小さいとホースの管内抵抗が大きくなるので
適度な粒度分布が必要です。

粗骨材最大寸法は10~15mmのものが一般的に使用されています。

アルカリシリカ反応に対して無害と判定された骨材を使用することを標準としています。

混和剤として、凝結や早期強度を増進させる急結剤が使用されます。
粉体タイプのものと液体タイプの急結剤がありますが、
粉体タイプの急結剤が使用されることが一般的です。

吹付けコンクリートの調合(配合)

細骨材率は、
吹付け施工におけるリバウンドや圧送性に影響がある要素の一つとして重要で、
S/A=55~75%と、一般のコンクリートに比べて高めです。

【関連記事】<細骨材率とは

また、単位セメント量も大きく設定し、
一般のコンクリートよりも粘性を高めて
付着性を確保しています

湿式では、水セメント比を小さくするために高性能減水剤が用いられることが多くありますが、
乾式では、フレッシュコンクリートの流動性が求められることがないため、
減水性の混和剤は用いられません

吹付けコンクリートの施工

トンネルの一次覆工

ノズルから吐き出される材料が、適当な距離から
程よい衝突速度で壁面に直角にあたるように施工するのがよいとされています。

掘削のり面

のり面ノズルマンの作業性からホース径は38~50mm程度のものが用いられます。
施工能力は、最大3m^3/h程度です。
吹付け機械を固定し、ホース長さを調整して吹付け作業を行います。
貧調合の方が施工しやすく、富調合だと管内閉塞が起きやすくなります。