レディーミクストコンクリートの製造

レディーミクストコンクリートの材料貯蔵設備

セメントの貯蔵設備は、セメントの生産者別及びセメントの種類別に区分され
セメントの風化を防止できる設備でなくてはならない、と規定されています。
密閉できる防湿構造のあるタンクが適しています。

骨材の貯蔵設備は、骨材の種類や粒度ごとに区分し
これらが混合しないように、また異物が混入しないように、
かつ大小の粒が分離しにくい設備で貯蔵するように規定されています。
人工軽量骨材を用いる場合は、骨材に散水できる設備を備えている必要があります。
高強度コンクリートの製造に用いる骨材の貯蔵には
上屋を設ける必要があります。

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混和材料を貯蔵する施設の規定
混和剤
AE減水剤などの溶解液には沈殿しやすいものがあるため
使用前に必ず撹拌してから使用する必要があります。
沈殿しやすいものは、定期的に撹拌したり、
常時循環させるなどの対応が必要です。
また、低温時に凍結のおそれのある場合は
凍結を防ぐため貯蔵タンクや配管を保温する必要があります。
混和材
混和材はセメントと同様に、
高温多湿を避けたサイロまたは倉庫に保管する必要があります。

練混ぜ水の貯蔵施設
上水道水、上水道水以外の水、回収水、それぞれ異なる種類の水が
混じり合わないように留意する必要があります。
スラッジ水については、貯蔵タンクや撹拌槽内で凝集や固化しないように
常に撹拌する必要があります。

レディーミクストコンクリートの計量方法

計量方法
計量器は、下表に規定する許容差内で
各材料を量り取ることができる精度のものを使用する必要があります。
また、計量した値を指示する指示計を備えている必要があります。
この指示計は、操作員の見えるところにあり、
計量器は操作員が容易に制御することができる必要があります。
 

材料の種類1回計量分量の計量値の許容差(%)
セメント±1
骨材±3
±1
混和材(高炉スラグ微粉末を除く)±2
高炉スラグ微粉末±1
混和剤±3
表_材料の計量値の許容差
 
水とセメントが最も許容差がシビアなのは、
結合材として、影響が大きいためです。
高炉スラグ微粉末についても、使用量が多くなる傾向があり、
結合材の一部であるとみなせるため
セメントと同じ許容差(=±1%)に規定されています。

 

セメント、骨材、水、混和材料はそれぞれ別々の計量器で計量する必要があります。
セメント、骨材、混和材は、質量によって計量する必要があります。
混和材は、購入者の承認があれば袋の数で計量してもよいが
1袋未満のものを用いる場合は、必ず質量で計量する必要があります。

水、混和剤の計量は、質量または容積で行う必要があります。
水は、あらかじめ計量してある混和剤と一緒に累加計量してもよいことになっています。
セメントは累加計量が認められていません。

混和材はセメントとの累加計量が認められていません。
個別の計量器で計量する必要があります。
骨材は、細骨材、粗骨材、粒度の異なる骨材を累加計量してもよいことになっています。

累加計量とは

先に計量してある材料に、別の材料を追加して合わせて計量することです。

練混ぜ

レディーミクストコンクリートは、工場内の固定式ミキサ
均一に練り混ぜる必要があります。

ミキサ

コンクリートの練り混ぜにはミキサが用いられます。

バッチ式ミキサ

バッチミキサは、一練り分ずつのコンクリート材料を練り混ぜミキサです。
重力式-傾胴式(:ドラムを回転させて重力による材料の落下で混ぜます)
強制練り-水平一軸型、水平二軸型、パン型があり、
動力で羽根を回転させて、材料を強制的に練り混ぜます。

同じ容量ならば、重力式よりも強制練り式の方が撹拌能力が高いとされています。
重力式よりも強制練り式の方が短い時間で撹拌できる

また、一般的に、長時間撹拌を行うと空気量が減少する傾向があります。

連続式ミキサ

コンクリート用材料の計量、
供給、練り混ぜを行う各機械を一体化して、
フレッシュコンクリートを連続的に製造するタイプのミキサです。

レディーミクストコンクリートの運搬車

レディーミクストコンクリートの運搬は、通常トラックアジテータを使用します。
生コン車とかミキサー車などの呼び名で呼ばれていますが、
JISでは、トラックアジテータと呼称されています。
アジテータ(=agitate):かき混ぜる。撹拌する。
撹拌装置を荷台に載せたトラックを指します。
ミキサは、練り混ぜ機と定義されているので、
ミキサー車とトラックアジテータは、目的が異なります。
もちろんミキサー車でレディーミクストコンクリートの運搬も可能です。
ただし、ミキサー車で練り混ぜられたコンクリートは
レディーミクストコンクリートと呼ぶことができません。
「工場内の固定式ミキサで練り混ぜる」という
JIS A 5308の規格から外れるためです。 

写真_トラックアジテータの模型

トラックアジテータは、レディーミクストコンクリートの排出時に
荷全体の1/4と3/4のとき、それぞれの試料を採取してスランプ試験を行い
両者のスランプの差が3cm以内となる撹拌性能を有する必要があります。
⇒ひとつの荷(トラックアジテータ1台)のなかで、
スランプが3㎝を超えてバラついてはいけない、ということです。

ダンプトラックは、スランプ2.5cmの舗装コンクリートを運搬する時に限り
使用することができます。
ダンプトラックの荷台は、平滑で防水的なものとし、
風雨などに対する保護のための防水覆いをもつものと規定されています。

レディーミクストコンクリートの運搬

レディーミクストコンクリートの運搬時間は、
生産者が練り混ぜを開始してから運搬車が荷卸し地点に到着するまでの時間とされており
その時間は、1.5時間以内と規定されています。
ダンプトラックでの運搬時間は、1時間以内と規定されています。