RC造(鉄筋コンクリート構造)ってなに?

RC造(Reinforced Concrete構造)とは、主要構造(柱や梁)を

鉄筋で強化された(=弱点を補強された)コンクリートで構成している構造のことです。

鉄筋コンクリートとは

コンクリートとは

セメント+水+細骨材(砂)+粗骨材(砂利)を練り混ぜたもの(=生コンクリート)

が硬化したものです。

セメント+水を練り混ぜたものを、セメントペースト、またはグラウト

セメント+水+細骨材を練り混ぜたものを、モルタル

といいます。

 

 

コンクリートは、圧縮力に強く引張力に弱いという力学的特性を持っています。

 

図_コンクリートの力学的特性

また、コンクリートのpHは、12~13です。非常に強いアルカリ性を示します。

これは、次項で述べる鉄筋を腐食(酸化)から保護する観点からみると、非常に有利です。

鉄筋とは

コンクリートの引張力に弱いという弱点を補強する目的で、

コンクリートの内部に配置する鋼製の棒です。

異形棒鋼や丸鋼が用いられます。

 

図_異形棒鋼・丸鋼の形状

異形棒鋼は、表面にデコボコなフシがたくさん設けてある鋼棒です。

コンクリート内での付着を大きくする目的で(鉄筋がコンクリート内でズレにくくなるように)

このような形状になっています。

鉄筋は、鋼材なので腐食に弱いです。また棒状(線状)の形状なため

圧縮力に弱い(座屈しやすい)です。

 
つまり鉄筋コンクリート構造は
コンクリートと鉄筋がお互いの弱点をお互いの特徴で補いあって
成立している構造であるということです。
 
駆け出し研修生
渡りに船、鬼に金棒
コンクリートに鉄筋、ということですね!

 

鉄筋は引張が作用する箇所に配置します。

鉄筋コンクリートの特徴

鉄筋コンクリート構造の長所

  • コンクリートは火災に強い材料です。
  • 高層の建築物に対応しやすいです。
  • コンクリートは低コストな材料です(1m3あたり、1.4万円程度)

鉄筋コンクリート構造の短所

  • 建物の重量が重くなるため、建物が負担しなければならない地震荷重が大きくなります。
  • 脆性破壊(変形があまり生じないまま破壊に至ること)が起きやすいです。
  • コンクリートの品質管理が難しいです(大変です)。

鉄筋コンクリートの性質

鉄筋コンクリートを構成する材料

コンクリート

コンクリートの種類と使用材料は、下記のように規定されています。

コンクリートの種類Fcの下限値
(\(N/mm^2\))
使用する粗骨材使用する細骨材
普通コンクリート18砂利、砕石、高炉スラグ砕石砂、砕砂、高炉スラグ砂
軽量コンクリート1種18人工軽量骨材砂、砕砂、高炉スラグ砂
軽量コンクリート2種18人工軽量骨材人工軽量骨材またはこの一部を
砂、砕砂、高炉スラグ砂で置き換えたもの
日本建築学会「鉄筋コンクリート構造設計規準2010年版」

Fc設計基準強度といいます(単位:\(N/mm^2\))。

コンクリートの構造設計を行うときの基準となる圧縮強度です。

コンクリートを調合するときに目標とするベースとなる強度です。

 
駆け出し研修生
コンクリートの「調合」と「配合」の違いは何ですか?
 
コンクリートの練り混ぜのことを
日本建築学会は「調合」
土木学会は「配合」
というワードで表現します。
まぁ、どちらでも全く同じ意味です。
私は建築技術者なので、調合を使います。
 
 
駆け出し研修生
調合か配合かどちらを使うかで、土木分野出身の方なのか、
建築分野出身の方なのか、なんとなくわかるってことですね。

鉄筋コンクリートの単位容積重量を下記に示します。

コンクリートの種類 Fcの範囲(\(N/mm^2\))単位容積重量
(\(kN/m^3\))
普通コンクリート \(F_c\leq36\)24
普通コンクリート \(36<F_c\leq48\)24.5
普通コンクリート \(48<F_c\leq60\)25
軽量コンクリート1種 \(F_c\leq27\)20
軽量コンクリート1種 \(27<F_c\leq36\)22
軽量コンクリート2種 \(F_c\leq27\)18
 
設計基準強度が大きくなると単位容積重量が大きくなるのは、
強度が大きいコンクリートの方が、
粗骨材の割合が大きくなるためだと考えます。
軽量コンクリートとは

粗骨材に人工軽量骨材を使用するコンクリートを軽量コンクリート1種

粗骨材と細骨材双方に人工軽量骨材を使用するコンクリートを軽量コンクリート2種といいます。

人工軽量骨材は内部に空隙を有しているという特性から、水分を含有しやすい性質があります。

 
わたしはPCカーテンウォール(外装材)で
軽量コンクリートを取り扱ったことがありますが、
表面含水率が高くて塗装の管理がとても大変でした。
軽量コンクリートは、建物の自重を小さくする目的で
床(スラブ)CONに採用されることが多いようです。

鉄筋

鉄筋は、JIS G 3112,JIS G 3551の規格に定められたものを用いる必要があります。

規格の表記の説明 

 

 

ア項:SR(丸鋼),SD(異形棒鋼)など、鋼棒の種類を表します。

イ項:降伏点または、0.2%耐力を\(N/mm^2\)で表します。

ウ項:A(=降伏点の上限なし),B(=降伏点の上限あり)を表します。

鉄筋の防錆処理

鉄筋はめっき処理をしたりせず、素地のままコンクリートに埋め込みます。

土木のようにエポキシ樹脂で防錆処理した鉄筋を使用したりという現場は

私はまだ見たことがありません(2020年11月時点)。

コンクリートの材料定数

鉄筋,コンクリートの材料定数を下記に示します。

材料ヤング係数
E(\(N/mm^2\))
ポアソン比
\(\nu\)
線膨張係数
\(\alpha(1/℃)\)
鉄筋\(2.05\times10^5\)\(1\times10^{-5}\)
コンクリート\(3.35\times10^4\times\Large{(\frac{\gamma}{24})}\)\(^2\times\Large{(\frac{F_c}{60})^{\frac{1}{3}}}\)\(0.2\)\(1\times10^{-5}\)

参考文献

  • 佐藤立美・荒木秀夫・森村毅(2011年)「RC規準による鉄筋コンクリートの構造設計【改訂版】」鹿島出版会