減水剤ってなに?

概要

通常、セメントに水が加えられると
セメント粒子は互いに凝集して、小さなかたまりとなって
セメントペースト中に存在します。
減水剤を使用すると
凝集状態のセメントの界面にくっつき
静電気的な反発作用によりセメント粒子が個々に分散され
結果、セメントペーストの流動性が大きくなります。

減水剤には、標準形・遅延形・促進形があります。
遅延形とは、コンクリートの練り混ぜ後に、
凝結が開始し終結するまでの時間を遅らせるタイプです。
反対に促進形は、上記の時間を早めるタイプのことです。

減水剤はセメント粒子分散させる作用があります。
これによりコンクリートのワーカビリティが向上します。
所要のコンシステンシー・強度を得るために必要な
単位セメント量、単位水量を減らすことができます
単位セメント量、単位水量を減らすと、より経済的なコンクリートと言えます。

 
セメントと水の量を減らすために
混和剤のコストがかかりすぎたら
元も子もないですよ
 
それを言ったら元も子もありません

AE減水剤とは

空気を連行する作用(AE剤の作用)と、
セメントを分散する作用(減水剤の作用)
両方の効果がある混和剤です。
AE減水剤には、標準形・遅延形・促進形があります。
【関連記事】<AE剤とは

減水剤・AE減水剤の効果

(1)ワーカビリティの向上

(2)単位水量の減少
プレーンコンクリート(混和剤不使用)よりも
減水剤使用の場合は、約4~6%
AE減水剤の場合は、約12~16%
単位水量を減らすことができます。

(3)減水剤、AE減水剤の遅延形は、
コンクリートの凝結を遅延させる目的で、夏季に使用されます。
コンクリートの温度が高い方が、硬化が早く進むためです。

(4)減水剤、AE減水剤の促進形は、
凝結促進の効果よりも初期強度発現の促進に特徴があります。
低温時における初期強度の発現や、
型枠の存置期間の短縮のために使用されます。

(5)単位セメント量の減少
プレーンコンクリートと同一強度を得ようとする場合、
単位セメント量を約6~10%減らすことができます。

(6)耐凍害性
AE減水剤は、AE剤と同様にコンクリート中に微細な独立空気泡を連行するので
凍結融解の繰り返し作用に対する抵抗性が大きくなります

(7)コンクリートの水密性が改善されます。
化学物質の浸食作用や中性化に対する抵抗性が高くなります。

高性能減水剤とは

スランプを一定とした条件で単位水量を大幅に減少させる
または、
単位水量を一定とした条件でスランプを大幅に増加させる
ことができる混和剤です。

高性能減水剤の特徴

約20~30%の大幅な減水効果があります。
減水性を向上させて単位水量を大幅に減らすことができるので
高強度コンクリートの調合に向いています。
単位セメント量が多いほど粉末度の大きいほど、また温度が高いほど
減水効果が大きくなる傾向があります
空気連行がほとんどないので、多量に使用しても
凝結の遅延は起きにくい傾向にあります。
高性能減水剤が添加されてスランプを増大されたコンクリートは
スランプの低下が大きくなります。そのため混合してからすぐに打ち込める
PC工場(プレキャストコンクリート工場)で使われるケースも多いです。

高性能AE減水剤とは

空気を連行する作用(AE剤の作用)に加え
高い減水性能と優れたスランプ保持性能を有する混和剤です。

高性能AE減水剤の特徴

AE減水剤よりも減水率が高く、
AE減水剤と同等以上のスランプ保持性能があります。
単位セメント量が多いほど減水性や流動性が大きくなります
セメント量が少ない貧調合の場合、期待通りの品質が得られないことがあります。
高強度コンクリートや高流動コンクリートを調合する際によく使用されます。

流動化剤とは

あらかじめ練り混ぜられたコンクリートに
あとから流動化剤を添加すると、
セメントの分散効果が増大します。
流動化コンクリートに使用される混和剤です。
高性能減水剤を主成分としています。

流動化剤は、標準形と遅延形があります。
遅延形は、暑中コンクリートなどでコンクリートの凝結を遅らせたり
流動化後のスランプの低下量を小さくする目的で使用されます。

遅延形の流動化剤は、流動化効果と凝結遅延効果を併せ持っています。
そのため、添加量によって流動化の程度と凝結遅延の程度が同時に変化するので
意外と使いづらいようです。
ベースコンクリートに遅延形の混和剤を使用する方が凝結の管理は簡単です。
また、単位水量が多いコンクリートと比べると
スランプの低下が大きくなる傾向があります。
(元々使用されている水の量が少ないから、混和剤の効き目が切れるとスランプが低下)

 


流動化剤を使ってスランプを大きくする際の、
変化量の最大値は10cmが原則です。
 
駆け出し研修生
流動化剤を用いてスランプを8cm⇒21cm
とした、という〇×問題の解答は、
×ということですね