コンクリートのクリープ現象ってなに?

クリープとは

コンクリートは持続して圧縮されると、徐々に収縮していく性質があります。

この荷重が作用したままの状態で、

時間とともに変形が増大していく現象をクリープ現象といいます。

クリープの原因

コンクリートは、セメント・水・骨材などが練り混ぜられ、セメントと水の水和反応により

硬化して初めて構造体として機能する材料になります。

このコンクリートに含まれている水分が、荷重によって移動してしまうのが

クリープの主な原因です。

クリープに影響を及ぼす要素

コンクリートの周辺が乾燥しているほど⇒クリープ(大)

部材寸法が小さいほど、コンクリートが乾燥しやすい⇒クリープ(大)

セメントペースト量が多いほど⇒クリープ(大)

水セメント比が大きいほど⇒クリープ(大)

コンクリートの組織が密実でない(=空隙が多い)コンクリートほど⇒クリープ(大)

作用荷重が大きいほど⇒クリープ(大)

載荷時の材齢が若いほど⇒クリープ(大)

特にクリープに気をつける箇所は

たわみの増大・ひび割れの拡大の原因となるため、

長いスパンの梁やスラブの設計時には、注意が必要です。

クリープを予防するには

圧縮鉄筋を配置することが一般的です。

鉄筋が圧縮応力を負担することにより、

相対的にコンクリートに作用する圧縮荷重が軽減されるためです。

 
駆け出し研修生
自動車にも「クリープ現象」がありますよね。
教習所の学科で習いました。
 
自動車(AT車)のクリープ現象は、
トルクコンバーター内のオイルが動くことにより動力が伝達され、
アクセルを踏まなくても、車がゆっくり進むことですね。
ゆっくりじわじわ進行する部分は、
共通点と呼べなくもないかもしれませんね。
また、木材もクリープに注意しなければならない建築材料です。

軸方向圧縮を受ける柱では

コンクリートのクリープが進行することによって

鉄筋が負担する圧縮応力は、徐々に大きくなっていきます。

参考文献

  • 佐藤立美・荒木秀夫・森村毅(2011年)「RC規準による鉄筋コンクリートの構造設計[改訂版]」鹿島出版会