水中コンクリート

概要

水中コンクリートは、
・一般の水中コンクリート
・水中不分離性コンクリート
・場所打ち杭、地下連続壁に使用するコンクリート
・プレパックドコンクリート
に分類されます

一般の水中コンクリート

水中に打ち込む一般的なコンクリートです。
トレミーもしくはポンプを使用して打設します。

一般の水中コンクリートの性質

水中での締固めができないので
適度な流動性が必要です。
(スランプは13~18cm程度必要)
材料分離を防ぐために
空気中で打設するコンクリートよりも
粘性、細骨材率を高くする必要があります。

一般の水中コンクリートの施工

水中コンクリートは、静水中に打ち込みます。
水流速は、5cm/s以下。
水中落下させることはNGです。
トレミーもしくはポンプの配管の先端を
既に打ち込まれたコンクリートに30~50㎝程度挿入して施工します

水中不分離性コンクリート

水中不分離性混和剤を使用した
材料分離抵抗性が高いコンクリートです。

水中不分離コンクリートの性質

流動性が高く、粘性も高いため
材料分離を生じることなく、高い充填性とセルフレベリング性があります
⇒高流動コンクリートに似た性質です。
エントレインドエアが少なくなる傾向があり、
耐凍害性が低いので、凍結融解を受ける箇所での使用はNGです。

水中不分離コンクリートの製造

コンクリートミキサは、高流動コンクリートと同様に
強制練りミキサの使用を標準とし、
一般のコンクリートよりも練混ぜの負荷が大きいため
練混ぜ量は、ミキサの容量の80%以下とし、
練混ぜ時間は、90~180秒を標準としています。

水中不分離コンクリートの施工

水中で落下させても分離しにくく、
ブリーディングはほとんど生じません
施工は、トレミーもしくはポンプを使用して打設し、
静水中(水流は5cm/s以下)に、
水中自由落下高さは原則50cm以下で施工します。

凝結時間は、5~10時間程度です。

コンクリートポンプで圧送する場合、
圧送負荷は、一般のコンクリートの2~3倍に大きくなり、
打ち込み速度は、1/2~1/3程度に遅くなるので
施工計画を立てる際は注意が必要です。

水中不分離性コンクリートは流動性が高いので、
型枠の側圧は液圧として型枠支保工の強度検討を行います

場所打ちコンクリート杭および地下連続壁に使用する
水中コンクリート

場所打ちコンクリート杭や地下連続壁に使用する水中コンクリートは、
ベントナイトなどの安定液中にコンクリートを打込むことになります。

安定液とは

掘削した(穴を掘った)地盤の崩壊や肌落ちを防ぐために投入される液体のことです。

場所打ちコンクリート杭および地下連続壁に使用する
水中コンクリート の規定

例に漏れず、
JASS5(日本建築学会)と
コンクリート標準示方書(土木学会)とでは
規定に微妙なズレがあります。

スランプ
JASS5:21cm以下(33N/mm^2未満)
JASS5:23cm以下(33N/mm^2以上)
コンクリート標準示方書:18~21cm

水セメント比
JASS5:60%以下(場所打ちコンクリート杭)、
JASS5:55%以下(地中連続壁)
コンクリート標準示方書:55%以下

単位セメント量
JASS5:330kg/m^3以上(場所打ちコンクリート杭)、
360kg/m^3以上(地中連続壁)
コンクリート標準示方書:350kg/m^3以上

鉄筋かごのかぶりは10cm以上を推奨しています。
コンクリートの打設前にスライムの処理を確実に行います。
スライムの処理は、掘削完了時とコンクリート打設直前の2回行うようにします。

コンクリートの打設は、トレミーを使って行い、
トレミーの先端はコンクリート中に2m以上挿入した状態で打設を行います。

コンクリートの上部にはレイタンスやスライムが混入するため余盛りが必要になります。
必要余盛り高さ
JASS5:50cm~100cm
コンクリート標準示方書:50cm以上

スライムとは

地盤の削りくずなど、
コンクリートに混ざると欠陥になる土や泥水のことをスライムといいます。

余盛りとは

場所打ちコンクリート杭などは、コンクリートの上部にどうしても
レイタンスやスライム・汚泥などの不純物が混入してしまい
その部分は健全ではない(=品質の悪い)コンクリートになってしまいます。
そのため、必要な高さよりも高くコンクリートを打設し
後でその不健全なコンクリートをはつり壊して取り除くことによって
必要な高さまで欠陥部分がないコンクリートが打設してある状態にできます。
この、打設後に不純物と一緒に壊されて取り除かれてしまう部分のコンクリートのこと
余盛りといいます。