JASS(ジャス)ってなに?

2021年3月時点での執筆です。

概要

日本建築学会が発行している

Japanese Architectural Standard Specificationの頭文字です。

「建築工事標準仕様書・同解説」と呼ばれています。

各種工事を標準化して仕様書を策定することにより

一般建築物の質の向上を図ることが目的で

1953年(昭和28年)頃から発刊されました。

技術の進歩に即して最新版が刊行される工種がある一方で

更新がゆっくりだったり止まっていたり、

種々の事情により廃刊になってしまった工種もあります。

JASS1 一般共通事項

建築工事を進めるうえでの基本的な仕組み・約束事が記載されています。

最終改定2002年1月

JASS2 仮設工事

共通仮設(仮囲いや足場など)、仮設計画の位置づけや

関連する法令などが記載されています。

最終改定2006年1月

JASS3 土工事および山留工事

JASS4 杭・地業および基礎工事

JASS3土工事および山留工事と、JASS4杭・地業および基礎工事で1冊の仕様書となっています。

土工事は、地盤の掘削や埋め戻しについて、

山留工事は山留支保工(仮設工事の一部)について

杭・地業は、建物の重量を支持層に伝える構造部材について記載されています。

JASS3は仮設工事、JASS4は本設工事の色合いが強い内容になっています。

最終改定2009年10月

JASS5 鉄筋コンクリート工事

鉄筋コンクリートの品質に関することが記載されています。

生コンの調合、材料の品質管理から始まり、

生コンを流し込む型枠、鉄筋の品質や曲げ加工・配筋など

いろいろな仕様のコンクリートの品質の管理の仕方が載っています。

JASSの中では比較的改定の頻度が早い仕様書です。

2021年中に改定が予定されています。

最終改定2018年7月

JASS6 鉄骨工事

鉄骨の品質に関することが記載されています。

材料、ボルト、溶接、防錆、耐火被覆について

などの仕様が載っています。

最終改定2018年1月

JASS7 メーソンリー工事

そもそもメーソンリーってなに?⇒組積造のことを指します。

ブロック塀など、積み上げて積層するパーツで構成される部材です。

最終改定2009年6月

 
未だに大地震時にブロック塀が倒れて
人身事故が起きているのは痛ましいですね
仕様書が更新されても、
過去にさかのぼって適用させることが難しい点も
課題だと思います

JASS8 防水工事

メンブレン防水、ステンレスシート防水、ケイ酸質系塗布防水、シーリングについて

材料、品質、施工管理に関することが記載されています。

最終改定2014年11月

JASS9 張り石工事

張り石の湿式工法(=モルタルや接着剤などで躯体に接着させて固定する方法)と

乾式工法(シアコネクターやダボピンなどの金物で固定する方法)

における品質管理や材料管理について記載されています。

最終改定2009年1月

ですが、現在重版されていないため、新刊で購入は難しいです。

JASS10 プレキャスト鉄筋コンクリート工事

プレキャストコンクリート部材の品質に関することが記載されています。

 
プレキャストコンクリートとは
前もって(工場などで)コンクリートの
柱や梁の部材を製造し、現場で組み立てる工法のことです。

最終改定2013年1月

JASS11 木工事

木質構造についての品質に関することが記載されています。

最終改定2005年11月

JASS12 屋根工事

屋根工事における、下地の材料・工法から始まり

仕上げ材料(瓦・金属・スレートなど)および雨どいの仕様について

記載されています。

日本に台風が上陸する回数が年々増加していることも

仕様更新の背景にあるようです。

最終改定2020年6月

JASS13 金属工事

金属の表面仕上げ、フェンス、手すり、面格子、はしご・キャットウォークに

関することが記載されています。

内容が最近の技術や社会情勢などに即していない理由からなのか確証はありませんが、

現在重版されていません。このまま廃刊かもしれません。

最終改定1998年11月

JASS14 カーテンウォール工事

メタル系のカーテンウォール(スチールサッシ・アルミサッシ)と

コンクリート系のカーテンウォールについて記載されています。

最終改定2012年2月

JASS15 左官工事

モルタルや石膏、しっくいなどの左官について記載されています。

JASS18塗装工事・JASS23吹き付け工事とカバーする範囲が重なる部分があります。

最終改定2019年12月

JASS16 建具工事

木製・アルミニウム製・樹脂製・スチール製・ステンレス製の

各建具および、付属金物について記載されています。

最終改定2008年1月

JASS17 ガラス工事

ガラス工事について記載されています。

日本建築学会にてガラス工事の改定小委員会が設置されているので

近年改訂版が出版されるかもしれません。

最終改定2003年12月

JASS18 塗装工事

金属系素地、セメント系素地、および木質系素地に関する塗装について記載されています。

最終改定2013年3月

JASS19 陶磁器タイル張り工事

セメントモルタルによるタイル後貼り工法、有機系接着剤によるタイル後貼り工法、

およびタイル先付プレキャストコンクリート工法について記載されています。

最終改定2012年7月

JASS20 プラスチック工事(廃刊)

プラスチックは、紫外線劣化が避けられないですから(個人の感想です)

建築の素材・材料としてとしては廃れてしまったのではないでしょうか。

JASS21 ALCパネル工事

ALC(=Autoclaved Lightweight aerated Concrete)蒸気養生された軽量気泡コンクリート

ALCは、日本工業規格(JIS)に規格されています(JIS A 5416)

このALCについて記載されています。

最終改定2018年9月

 
似たような建材パネルでECP(=Extruded Cement Panel)
押し出し形成セメント版というものがあります。
詳しくは、また別の機会にて。

JASS22 雑工事(廃刊)

取材不足のため情報なし><

JASS23 吹き付け工事

吹き付け塗装について記載されています。

また、仕上塗材をこて塗りによって仕上げる工事はJASS15(左官工事)となります。

吹付けロックウールを内壁および天井に吹き付ける工事はJASS23の適用範囲です。

最終改定2006年11月

JASS24 断熱工事

鉄筋コンクリート造建築物の断熱、木造建築物の断熱、

および鉄骨造建築物の断熱について記載されています。

最終改定2013年2月

JASS25 ユニット類工事(廃刊)

取材不足のため情報なし><

JASS26 内装工事

天井、壁、床、カーテン・ブラインドの内装工事について記載されています。

最終改定2006年2月

JASS27 乾式外装工事

ALC薄型パネルの外壁、GRCパネルの外壁、押し出し形成セメント版パネルの外装、

繊維強化セメント版(スレート)の外壁、複合金属サイディングの外壁、

窯業系サイディングの外壁について記載されています。

最終改定2011年6月