フレッシュコンクリートの打設・締固め・打ち継ぎ

コンクリート打設前の準備

打設計画:打設区画、打設順序など
型枠検査、配筋検査
設計図書通りに組立てられているかの確認。

型枠表面は湿潤状態にしておくことが望ましいです。
乾燥していると、コンクリートの水分が型枠に吸収されてしまい、
コンクリートの品質・ワーカビリティの低下を招く恐れがあるためです。

通常、高圧洗浄機で水洗いします。
この洗い水をしっかり排水することが非常に重要です。

コンクリート打設時の注意事項
型枠内にコンクリートを落とし込む際、
できるだけ低い位置から落とすようにします。
自由落下高さは、1.5m以下にとされています。
材料分離を起こすためです。

コンクリートの横流しは禁止です。
自由落下と同様、材料分離を起すためです。

 

打ち重ねとは

下の層のコンクリートが固まり始める前に
コールドジョイントができないように一体化させて
上の層のコンクリートを打ち足すこと。
固まっていないコンクリートの上に、
新しいコンクリートを打ち足すこと。

コールドジョイントとは

コンクリートの欠陥のひとつで、
先に打ち込んだコンクリートと
後から打ち込んだコンクリートが
完全に一体化していない継ぎ目のことです。

コールドジョイント対策として
打ち重ね時間の間隔の限度が規定されています。

コンクリート標準示方書(土木学会)
外気温25℃を超える場合:2時間以内
外気温25℃以下の場合:2.5時間以内

JASS5(日本建築学会)
外気温25℃以上の場合:120分以内
外気温25℃未満の場合:150分以内

 
駆け出し研修生
時間だったり分だったり
以上だったり超えるだったり
未満だったり以下だったり
ほぼほぼ意味一緒ですよね?
 
土木学会と日本建築学会の仲の良さがうかがい知れます

コンクリートの締固めとは

打ち込んだフレッシュコンクリートを振動させたり、
たたいたり、突いたりして空隙を少なくし、
密実にする行為を締固めといいます。
均質で密実な品質のコンクリートを得るために必要な工程のひとつです。

内部振動

締固めには、棒状バイブレータによる内部振動が最も効果的です。
直径40~50mm、振動数200Hz程度が一般的です。
締固め能力は、4~8m^3/h程度です。

振動締固めの1層の高さは40~50cmを標準とします。
挿入間隔は、コンクリート標準示方書では50cm以下
JASS5では60cm以下を標準としています。
棒状バイブレータは、垂直に挿入し、
先に打ち込んだ層に約10cm程度まで挿入するようにします。

棒状バイブレータの操作・振動時間は、
打ち込まれたコンクリートの表面の沈下が認められなくなって
ほぼ水平となり、表面にセメントペーストが浮き上がって
光沢が現れた状態を目安に、材料が分離しない範囲とします。
コンクリートの種類やスランプ、振動機の性能によって決めますが
一か所あたり5~15秒程度とします。

図_棒状振動機の模式図
図_棒状バイブレータの挿入間隔

振動機は、鉄筋、セパレータ、スペーサー、埋め込み配管、
埋め込み金物などに接触させないように注意して挿入します。

外部振動

型枠に取り付けて型枠を振動させて
コンクリートに振動を伝えて締固めをします。
型枠側のコンクリート表面しか締固めできません。
型枠振動機は、棒状バイブレータの補助的な役割として用いることになります。

コンクリートの打ち継ぎとは

先に打ち込んだコンクリートが完全に硬化している状態のところに接して
新たにコンクリートを打ち込むことを指します。

打ち継ぎ部は、構造的に一体化しにくいため
水密性や耐久性のうえで弱点になりやすいため
打ち継ぎ部の位置の設定には注意が必要です。

できるだけ作用するせん断力が小さい位置に設けます。
打ち継ぎ面は、圧縮力を受ける軸方向に対して直角になるようにします。

鉛直面
梁やスラブの鉛直打ち継ぎ部は
スパンの中央か、端から1/4付近に設けます。

水平面
柱や壁の水平面の打ち継ぎは、
梁やスラブとの接合部の下端もしくは上端に設けます。
アーチのコンクリートは、アーチ軸に直角になる面に設けます。
 

図_打ち継ぎ位置・打ち継ぎ面

海洋構造物では、感潮部分(満潮位から上部60cm~干潮位から下部60cm)には
打ち継ぎ部を設けないように注意する必要があります。

打ち継ぎ部の下処理
良好な打ち継ぎ部を施工するには
旧コンクリート部を入念に施工することが最も重要です。

旧コンクリート硬化前に行う処理方法
コンクリートの硬化前に、高圧の空気と水でコンクリート表面の
薄層を除去し粗骨材を露出させます。
コンクリート表面に遅延剤を散布して処理することもあります。

旧コンクリート硬化後に行う処理方法
レイタンスを完全に取り除きます。
高圧の空気と水で表面をきれいに洗い
ワイヤーブラシで粗面にします。

レイタンスとは

コンクリートの打ち込み後にブリーディングに伴い
コンクリート内部の微細の粒子が浮上し
コンクリート表面に形成する脆弱な物質の層のことです。

レイタンスを完全に取り除いたあと、
はがれた粗骨材や不純物もすべて取り除き
十分に打ち継ぎ面に吸水させてから
新しいコンクリートを打ち込み、
旧コンクリートに密着するように締固めます。